市内にある点訳ボランティアの団体を見学に行ってきました。
明生会館という県の外郭団体?で活動する「しおりの会」といい、シニアの女性を中心に20人ほどで、毎週火曜日の午前中に活動されているそうです。
点訳の中心は、会館からの依頼に基づいて、文学作品が中心のようです。いわゆる点字図書館の蔵書となるため、選択や点訳の品質にも、かなり気を使うそうです。会館には、この団体のほかに、音訳を中心としたグループもあり、こちらは市の広報などのお知らせものを中心に、活動されているそうです。
点訳自体は、6点点字という基本点字で、点字器(定規に沿って一文字づつ針を押すタイプ)が主流。かなりのアナログの世界ですが、徐々にパソコンでの入力にシフトしているようです。ただし多くのメンバが点字器を使っていることから、パソコンを使っていても6点点字入力をされているようです。もちろん、点字は読めなければ点訳の仕事はできませんから、これは必須技能です。
一方で、パソコンのソフトウェアはずいぶん改良されてきており、団体が主に使っているIBM製のフリーソフト以外にも、いくつか出てきているようです。
IBM・・ 点字編集ソフト Win-BES 99 http://www-06.ibm.com/jp/accessibility/soft/winbes99.html 提供中止 後継製品あり
音声読み上げソフト ProTALKER 97 http://www-06.ibm.com/jp/voiceland/pt20/
岐阜大学・・IBUKI-TEN http://www.ikd.info.gifu-u.ac.jp/IBUKI-TEN/
お点ちゃん・・ http://www.h4.dion.ne.jp/~otenchan/
個人的に見れば、6点(6ビット)で表現される点字は、情報化に適したコード体系です。規則性も明確に定義されており、英字や@などの新しく出てきている情報処理用語などを除けば、それほど特殊処理はなさそう。むしろ、日本語を日本語と認識するための、文節分かち書きや正しい読み、がもっとも重要なポイント。ここに各ソフトウェアの工夫があるように思います。
点字が読めないので、それぞれのソフトの優劣は云々できませんが、かな表記された分かち書きを見る限り、岐阜大学工学部の研究室で開発されたIBUKI-TENは、よくできているように感じます。通常の仮名漢字交じりのテキストファイルを、分かち書きと点字への変換を一気にやってしまう。修正も、原文、かなの分かち書き、点字を見ながら、容易にできるなど、操作性もよさそう。
もっとも、点訳作業自体には、相当な熟練と原文の理解力、なによりも点字の理解が欠かせないのも事実です。ですが、学生など初心者が、まず手始めに点訳に触れるには、パソコンソフトはよいのではないでしょうか。
音訳などのような高度な訓練や作業自体への時間や設備が必要な作業を考えると、点訳は比較的取り組みやすいともいえます。
しおりの会の皆さんにも、まずは手始めに、正しい日本語で書かれた文学作品や評論を点訳してみることを勧められました。とにかくやってみましょう。
エセや自己満足ボランティアにならないよう、息の長い活動に育てられればよいと考えます。